近年乱立する漫画アニメ原作の実写化映画。
「原作ファンも取り込めて、かつ有名アイドルを主演にすえれば集客が見込める!」と考えているのかどうかは知らないですが、
原作漫画のファンとしてはとても納得できない実写化作品が多すぎると思うのは俺だけでしょうか。
もちろん個々人の好みはあるので一概には言えませんが、それでも酷い作品は原作レイプと言われるほど改編されタイトルと設定以外は全く別物。
作品未読の人が最初に触れるのが実写化であれば、原作漫画を読むかどうかに繋がる大事な入口。
もし実写化映画が死ぬほどつまらなかったら、漫画を読んでもいないのにその作品自体が「つまらない」という評価になるんです。
それなのに、まあ次から次へと雨後の筍のように出てくる漫画・アニメ原作の実写化映画に正直辟易していました。
そんな中、飛びこんできた漫画「キングダム」の実写化の知らせ。
その時思いましたね。「ああ、ついにここにも手を出したか」と。
知らない人の為に説明すると「キングダム」は現在もヤングジャンプで連載中の超人気漫画。
戦国時代の中国を初めて統一した秦の始皇帝、その誕生から中華統一までを描く壮大な物語です。
元々人気漫画でありながら、アメトーークで「キングダム芸人」で紹介されてから、さらに人気に火が付き爆発的なヒットを起こしました。
特に放送直後はあまりの人気ぶりに書店からキングダムが消えたほど。
ちなみに俺もこのアメトーークを見て読んでみたらハマり、現在本誌でも毎週欠かさず読むくらい好きな作品です。
と思っていましたが、キャスティング発表と漫画のスチール帯を見るとビジュアルは中々悪くない。
いや、しかしビジュアルだけ良くて、中身がイマイチな実写映画も今までに結構あった。過剰な期待をするのは禁物だ。
ということで、さほど期待をせずに映画「キングダム」を観てきました。
映画を観た後の感想は、
「めっっちゃよかったーーーー!」
わーん。面白かったよー。すごかったよー。皆かっこよかったよー。
演者の皆さんのキャラクターそれぞれが漫画のキャラクターとの大きな乖離なく、しっかりハマっていて違和感なく見られました!
ストーリーも物語最初の山である、弟の成嬌との内乱編を分かりやすくまとめ、かつ今後を感じさせる演出が素敵でした。
これなら原作ファンも納得できるし、未読の人も「漫画読んでみようかな」ってなるんじゃないかな?
Twitterを見ると、皆同じ感想らしく称賛の嵐。これは実写化映画として大成功ではなかろうか。
アニメ漫画の実写化はコケるのがお決まりだが
キングダムは成功
内容の前後等はあったが、基本原作通りであの時間に収めれる範囲で上手にかいつまんであるのと、王騎!の大沢たかお再現度アニメそのまま
あと成蟜の本郷、楊端和の長澤まさみ!配役ドンピシャ
長澤まさみ♡ #キングダム感想 #KINGDOM— (nao) (@ysr18000) 2019年4月26日
というわけで、かなり前振りが長くなりましたが、映画「キングダム」の感想を皆さんのツイートとともに書いていこうと思います!
原作ファンも未読の人も高評価の映画「キングダム」
吉沢亮演じる「贏政・漂」の演じ分けが見事過ぎる!
まずは何といっても吉沢亮演じる「贏政・漂」の演じ分けが見事過ぎることでしょう!
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今回、信(山崎賢人)の兄弟のような存在の「漂」と、秦王国の王である「贏政」の一人二役を演じた吉沢亮さん。
どちらも心の中に強い信念を持って戦っているのですが、「漂」では奴隷の身分から抜け出してやるという野心と荒々しさを、「贏政」では世界を変える強い信念と王たる品格。
姿形は全く同じなのに(当たり前ですが)全くの別人に見えてしまう!
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. 【#キングダム名言集】 . 「友と二人、 身の程をわきまえぬ大望があります。 名を残す、天下の大将軍。」 . #漂 #吉沢亮 #キングダム #4月19日公開
この2人の違いを目や雰囲気、言葉で演じ分けてるんですよ。何と見事な演技力!
漂と政で顔も髪も同じはずなのに、何があんなに別人に思わせるんだろうって思って、眉毛かなぁ〜って思ったりしてたんだけど、やっぱ目だったわ。目だけであんな2役を演じる吉沢亮天才すぎん?あんな顔しといてからに〜全てかっさらってるやん〜どれか分け与えて〜(号泣) #キングダム感想
— ちゃげ🍙キングダムの為に生きてます (@kentosun_aka) 2019年4月26日
漫画ならともかく実写だと同じ顔が並ぶと違和感を覚えてしまいますが、そんなことを全く感じませんでした。
そして、物語のクライマックスでは威風堂々たる振る舞いと仲間への激!
胸が熱くなります!
キングダムにおいて軸になる信と漂そして信と嬴政を演じた山﨑くんと吉沢さん本当に本当に素晴らしかった!特に漂と政の演じ分け目の演技の違いオーラの違い、檄を飛ばす時の迫力全てが圧巻だった吉沢さん。漂と政を演じるのは吉沢さん以外無理だと思わされました。凄かった。 pic.twitter.com/Xb7tLMlp1I
— おはる (@yrknkn22) 2019年4月25日
漂の檄、政の檄
そのどちらも私の身体の芯に届き、熱くなり、アドレナリンが放出されるのを感じた#キングダム感想#キングダム#吉沢亮
— 池目 愛 (@i_k88888888) 2019年4月21日
長澤まさみ演じる「楊端和」が美しすぎて悶絶!
そして今回の映画キングダムを語る上で皆が口をそろえて言うのが「楊端和」の美しさ!
そのあまりの美しさにやられた人が続出しております(笑)
しかし、それも納得の美しさ!
予告ポスターの段階でかなり原作に近いと思ってましたが、これはまさに楊端和そのもの!
キングダム。原作そのまま、なんの違和感もない。100点!
映画で見る長澤まさみは、本当衰えを知らないな。美しい。
長澤まさみ 100億点!#キングダム#長澤まさみ#楊端和https://t.co/zgIbr07MOn @YouTube pic.twitter.com/tND9QqUsiD
— えーさん (@sg_aaa3) 2019年4月26日
さらに美しさだけでなく、演技も見事でした。
絶世の美女でありながら、戦闘民族である山の民から「死王」と恐れられる強さと冷淡さ。
「プロポーズ大作戦」や「ドラゴン桜」での少し控えめだけど可愛らしい女の子、
あと最近では「コンフィデンスマンJP」の振り切ったコメディエンヌっぷりからは想像もつかない、クールビューティな姿。
やっぱこの方凄いなぁ。数ある主要キャストの中でも一際高評価の楊端和。
この長澤まさみを見るだけでも1800円の価値あり!
意外にハマり役。大沢たかお演じる中華の大将軍「王騎」
そして、その楊端和と並ぶくらいファンからも高評価で、個人的に一番感動したのが大沢たかおさん演じる「王騎」
ビジュアルだけ見た時は正直どうかなと思ったんですが、これが想像以上に凄かったです!
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原作漫画では物語の序盤で姿を消すのですが、今現在も物語に影響を与えるほどの天下の大将軍「王騎」
物語の中でジョーカー的な存在で、単純な武としての強さや将としての器など絶対的な存在感を放つキャラクターなのです。
ただ、漫画のキャラクターでは強さだけでなく、ちょっとオネエが入っているような強烈キャラなのです。
ただ、それがただ強い武人ではなく、善人とも悪人ともつかない奇怪さと圧倒的強者としての存在感としてキャラクターに深みを与えています。
漫画だからこそ成り立つ強烈なキャラクターを実写化するにはどうすればいいか。
ビジュアルだけで言えば、アメトーークでのキングダム芸人のノブコブ吉村の王騎はかなり再現度が高かったです。
ですが、演技も込みとなれば話は別。
漫画のまま実写化すれば、その特徴的な口調に引っ張られオネエ口調のギャグキャラになりかねないわけです。
大沢たかおさん演じる王騎は、原作での雰囲気を保ちながら映画の規格に再構築して、しっかりと王騎だったんですよね。
【キングダム】感想!
王騎の再現度がヤバかった。容姿は勿論、しゃべり方や声質もアニメ版を意識している。日本人体格故にちょっと図体は物足りなかったけど、あの王騎を見に行くだけでも価値はある。
ストーリーは反乱鎮圧までで、特にオリジナル要素はなし、原作知らないくらいが一番楽しめるかも— ネコマタ狂アラン (@nekomataaran) 2019年4月23日
原作より多少マイルドな気がしましたが、王騎としてのオーラや特徴的な笑い声などもしっかり演じてて見事なバランスでした。
実際に見て「うわー!王騎だ!」と思いましたもんね。
この役に関してはご本人も結構苦労したそうで、役作りの苦悩を聞くとよりあの王騎の凄さが分かります。
本人インタビューを是非ご覧ください!
見事な悪役ぶり!本郷奏多演じる贏政の異母弟「成蟜」
良い物語には良い悪役が不可欠!
今回のストーリーの敵役でもある贏政(吉沢亮)の弟、成蟜(本郷奏多)もめちゃくちゃ良かったですね!
ビジュアルはもちろんのこと、単なる悪役でなく王族特有の血統主義というか下民を見下す醜悪な態度の演技とかすごくハマってましたね。
あとは形勢逆転されると途端に現れる小物感とか、ただ単に悪役でも小物でもなく深みがある敵キャラでした。
ちなみにここではあれだけ嫌な奴だった成蟜が、この後の物語でものすごい重要なキャラになるんですよ!
読んだ時は「まさか成蟜で泣くなんて!」と思いましたもんね。気になる方は是非原作漫画をチェックしてください!
高嶋政宏、要潤、六平直政、満島真之介と脇を固めるキャストも最高!
他にも昌文君(高嶋政宏)や壁(満島真之介)、李典(六平直政)などサブキャラを演じる俳優陣の層も厚い!
特に一番最初は六平直政さんがどっしりと物語が転がり始める土台を作っていた感が。
っていうか漫画ではそこまでフューチャーされないキャラに六平さんを配役するなんて贅沢。。
そういう点で言うと「謄」役の要潤さんもかなり贅沢。今回あんまり台詞なかったけど続編あったら「ファルファル」言ってくれるのかしら。
あと、お兄さんのあの野人の感じはちょっと若くて昌文君にはどうかなあと思ってましたが、物語後半には昌文君にしか見えませんでしたね(笑)
武骨で実直な武人といった感じです。
壁はちょっとカッコよすぎないか?(笑)もっと頼りなくてもいい感じもしたかも。
山崎賢人演じる主人公「信」叫びすぎ問題。
漫画の実写化映画としては、とても満足のいくクオリティでキャストもばっちりハマっている分、普通なら気にならないところもちょっと気になったりしてしまいました。
そのひとつが信叫びすぎ問題。
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山崎賢人の演じる信も良かったと思うんですが、個人的にビジュアルや演技よりも先に「信、叫びすぎじゃね?」が先に来てしまいました。
事あるごとに「うぉぉぉぉぉ!」とか「おらぁぁぁぁぁぁ!」と叫んでいる印象が強くて、後半は「ちょっと静かにして!」と思いました。
ただね、実際マンガでも結構叫んでいるんですよ、信って(笑)
漫画だから、そこまで気にならなかったけど、実際に映像として叫んでいるのを見聞きするとちょっとクドいかなと思いましたね。
もしかしたら忠実に再現した結果なのかもしれないですが、そのまま実写化すると結構気になります。
原作漫画の世界観をそのまま実写に持ってきても、必ずしも上手くいくわけではないんだなぁと新たな発見。
そう考えると、原作での雰囲気を保ちながら、映画の規格に再構築した王騎はすごかったなぁと改めて思います。
あ、でもアクションはめちゃめちゃ凄かったです。アクション監督にも高評価だったそう。
アクション監督の下村勇二は、本格的アクションに初挑戦となった信役の山崎賢人について「頭で考えるより本能で動いた時に、ものすごい跳躍やアクションをするんです」とポテンシャルの高さを評価している。/リアルサウンド
— limu (@no___mori) 2019年4月23日
走って、飛んで、斬って斬って斬りまくる。
リアル三国無双かなって思うくらい敵吹っ飛ぶし、ド派手なアクションは見ごたえ十分です!
橋本環奈演じる河了貂可愛すぎ問題。
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あと、もうひとつ気になったのは、橋本環奈演じる河了貂可愛すぎ問題。
予告を見た時は髪も短くして雰囲気も良かったのでいけるかなと思ったんですが、梟のかぶり物をとって初めて顔を見せる時の橋本環奈が可愛すぎました。
原作の河了貂も成長した今でこそ整った綺麗な顔立ちだけど、登場時は男の子にも見えるボーイッシュな感じなんですよね。
しかし、橋本環奈演じる河了貂の可愛さといったら!
黒卑村という荒くれものばかりのスラム街にあんな子いたら、目立ってしょうがないでしょ!
まさに「掃き溜めに鶴」
物語の性質上、色恋方面に話が行くことはないけど、あれだけ可愛いのに他の登場人物たちがそこに触れないことがちょっと違和感が。
壮大なスケールで描かれた物語を是非劇場でご覧ください!
ここまで既に6000字を越えていますが、まだまだその魅力を書き足りないキングダム!
今回はキャストや役者の演技について主に書きましたが、他にも衣装やセットなどが作り出すその世界観やワイヤーアクションを使った迫力ある戦闘シーンなどとにかく見どころ満載!
それでいて、ストーリーはいたってシンプルなので原作を読んでない人でも十分楽しめます!
漫画の実写化映画としては間違いなく成功と言っていいでしょう!
是非まだ見ていない人は映画館でその壮大なスケールと見事なアクションと演者の見事な演技を堪能してみてください!
そして映画を見た方は是非マンガの方も読んでほしい!
実は今回の映画の元になったのは物語の序盤も序盤。漫画の巻数で言うと5巻くらいまでです。(2019年4月現在54巻まで発売)
秦国内の反乱を治めた政と信はこの後中華統一の第一歩として、舞台を秦国内から中国全土に移し、さらに強大な敵と戦っていく事になります。
中華統一を目指す若き王・嬴政と天下の大将軍を目指す・信の戦いを描く物語は絵からもその息遣いが伝わるほど圧倒的なスケール感!
個人的には25巻から33巻まで続く合従軍侵攻がかなり激アツなので、そこまでは頑張って読んでいただきたい!