(この記事は2018年8月23日にnoteに掲載した記事です)
史上初の東北勢優勝か、2度目の春夏制覇か。
どちらが勝っても偉業達成となる100回目の甲子園の決勝戦は大阪桐蔭高校の2度目の春夏連覇で締めくくられた。
これまで劇的な勝利を続けてきた金足農業も奮闘するも、大阪桐蔭には及ばず東北勢の悲願はならなかった。
ここまで一人で投げ抜いた吉田投手。
やはり疲れは相当なものだったのだろう。
それでも、勢いのある球を投げていたのはさすがだったが、大阪桐蔭の打者たちはさらにその上をいっていた。
結果は13-2。
好投手が決勝では打たれてしまい、大差で負けるという事はよくあるけど、それでも最後まで手を抜くことなく、全力で戦い抜いた両校にまず拍手を送りたい。
この試合について、金足農業について書きたい事はいっぱいあるが、それは一旦置いておいておこう。
今回書きたいのは、自分が選んだ道を正解にする力。
100回という節目の大会に最後まで残った2校。
あまりにも対照的なこの2校が決勝で戦うというのは色々と考えさせられるものがあった。
正解を探すのではなく、自分が選んだ道を正解にする力
今回優勝した大阪桐蔭高校は言わずと知れた野球の名門。
全国から優秀な人材を集め、切磋琢磨して、その中からさらに優秀な選手を選び抜く。
まさに高校オールスターと言っても言い過ぎではないだろう。
一方、秋田代表の金足農業は公立の高校であり、地元の子たちのみで構成されたチーム。
県内では強豪として有名らしいが、全国的な知名度もそこまでだったように感じる。
今回の活躍で初めて名前を知った人も多いんではないだろうか。
今回ここで言いたいのは、よく話題に上がる「こっちがヒーロー、こっちがヒール」という事じゃない。
大阪桐蔭も金足農業も関係なく、自分の選んだ道を正解にするために、鍛錬して、ここまで来た。比べるまでもなく、どちらもすごい。
ただ、仲間たちと地元の高校で甲子園での優勝を目指す、この道を選んで、実際にここまで結果を出せたという事に僕は心を揺さぶられた。
甲子園に出場し、そして優勝する。
そう考えた時に、真っ先に思い浮かぶ最適解はやはり強豪校に行くことだろう。
そして、それは全国的に有名なところであればあるほどいい。
レベルが高い選手たちにもまれて己を磨くことは間違いなく、成長につながる。
多くの人がそう考える中、金足農業のメンバーは仲間と地元の高校へ行って甲子園を目指した。
東北という土地柄もあるし、実際見たことがないから確実な事は言えないが、練習環境も全国的な名門には及ばないと思う。
その選択は、一見不正解に見える。
ましてや吉田投手のような将来有望な選手なら、なおさらだ。
でも、彼は、彼らは、その道を選び、そして高校最後の夏には日本全国に金農旋風を巻き起こし、103年振りの秋田県勢決勝進出を果たした。
もちろん、それは吉田輝星というスター選手の活躍が大きく影響したのは間違いない。
それでも、野球は9人でやるもの。
彼らは自分の、自分たちの選んだ道を正解にした。しかも、103年間も決勝進出のない秋田から。
これが日本全国に大きな希望をくれたんじゃないか、と思う。
ただ、もちろんこの事は大阪桐蔭の選手にも同じく言える事で、大阪桐蔭に入ったってレギュラーへの道程は容易じゃない。
十分な素質を持ちながらも、3年間ベンチにも入れない選手なんてザラだという。
そんな中、レギュラーになり全国的に注目されプレッシャーもある中、前評判通り勝ち進むなんて本当に強いチームでないと出来ない。
しかも、2度目の春夏連覇という史上初の偉業がかかった今大会。
昨年夏の苦い敗戦を振り切り、夢を叶えるためにこの1年鍛錬を続けてきた。
甲子園常連であったり、春の選抜優勝校であることは関係ない。彼らも自らの選んだ道の証明に必死だ。
そういえば、こんなツイートがあった。
金足農業に感情移入してみれば、全国の有名選手の集まりである大阪桐蔭は最強のラスボス。大阪桐蔭に感情移入してみれば、15で親元を離れ野球に掛けてきた自分たちのレゾンデートルを否定する存在である金足農業には絶対に負けられない。これは燃える。
— ソル/カサイ (@kasaitakahiro) 2018年8月20日
確かに歩んできた道は違えど、負けられない思いは同じ。
そんな中で試合をして、今回、大阪桐蔭が勝った。
野球は9人でやるもので、その総合力で上をいった高校が優勝した。
勝敗に関しては、それだけの事なんだと思う。
甲子園が終わって2日。
未だに「大阪桐蔭は全国から優秀な選手を集めてるから」とか「金足農業ばかりフューチャーしすぎ」とか色々言われているけど、そんなの正直どうでもいいな、と。
もちろん、学校対抗であるから、そういう意見があるのは当然。
でも、今回は大阪桐蔭や金足農業という学校の枠を取っ払って、一人ひとりの選手、人間として見てそんな事は関係ないな、と思った。
あの場に立っていた彼ら全員がすごかった。色んな可能性を見せてもらった。
選んだ道を正解にするために、もがき苦しみ歩んできた3年間の「けっしょう」を見られたことに感動したんだ。
そんな彼らの姿勢に僕は学ばなければならない。
100回目の夏はもう終わったのだから、試合の結果やその後の事に、当事者でもない僕らがとやかく言ってもしょうがないだろう。
それよりも自分の選んだ道を正解にするために、今日出来る事はなんだろう?
これを考えたい。