本来、「迷子」とは避けたい困った状況。
今ではスマホにGoogleマップもあるので、迷子になる方が難しいですが、そんな中、迷子に自ら積極的になりに行く友人がいます。
彼女の名前はコメ。実家が米農家のため、こんなあだ名になったそうです(笑)
彼女曰く「迷子とは人生そのもの」なんだそう。
今回はそんな彼女の迷子に対するこだわりを『迷子道』と題して、その魅力と楽しく迷子になるためのポイントを聞きました。
小道にはロマンがある。
『小道にはロマンがある』そう語る彼女が迷子の魅力に気付いたのは、小学校4年生の時。
花火大会に行く途中に見た小道の風景がきっかけでした。
夜、父親と一緒に自転車に乗り花火大会に向かう途中、とあるビルとビルの間にすーっと通る一本の小道を見つけたコメさん。
その小道の先には公園のような広場を赤っぽい街灯の光がぼやっと照らしている、そんな光景が一瞬見えました。
この光景を見たときにコメさんは「運命の人に出会ったような衝撃」を感じたといいます。
ピコンッときた、と。
花火大会が終わっても、その光景が頭に焼き付いて離れないコメさんは帰り道にもう一度その小道を覗いてみました。
すると、そこにはさっきの光景はなく、真っ暗で何も見えない暗闇が広がっていました。
たった数時間でまったく別の表情に変わった小道。
ただの小道がこんなに表情があるのか、と驚いたコメさんはそこから「小道を進んだその先に何があるのか」に興味を持ちだしました。
それが今の迷子好きの原型になっているそうです。
プロが教える迷子の作法
迷子になるのは簡単なようで難しいと語るコメさん。
そんな迷子のプロの彼女が語る「迷子を楽しむ」にあたって注意すべき点を3つご紹介しよう。
壱.直進することなかれ。
直進してしまうと帰り道がすぐわかってしまい、迷子になれません。
帰り道が分からないからこそ迷子であり、そうすることにより感性が研ぎ澄まされていくのだそう。
そこでコメさんがとる方法が交差点があったら必ず曲がること。
ちなみに後に予定がある『プチ迷子』の際には、曲がっていいのは5ブロックまで。
弐.振り返ることなかれ。
これも先ほどの「直進してはいけない」ということと通じるものがありますが、振り返った時に自分の来た道が分かってしまうからダメなんだそう。
迷子が完成する、その時まで来た道を振り返ってはいけません。
迷子になる事への不安を振り切り、前へ前へ前進あるのみです。
参.小道のロマンを感じろ。
長いトンネルを抜けると雪国であった。
川端康成(雪国)
文豪・川端康成の名作『雪国』の冒頭の一文のように今まで慣れ親しんだ道を抜けると、そこには想像もしなかった世界が広がっているそうです。
小道にはロマンがあるとコメさんは言います。
自分の身近な世界に隠れているロマンを探してみましょう。
迷子とは人生そのもの。
「迷子とは、人生そのもの」
人生は歩いては迷い、進んでは迷いの連続で、迷いのない人生なんて面白くない。
そんな環境にわざわざ身を置くことで、生きる事の手探り感、もがいている生きている実感を感じるんだそう。
今はスマホがあればすぐ欲しい情報にアクセスできて、ナビを使えば行きたい場所にスムーズに行けます。
でもそんな時代だからこそ、たまにはスマホを手放して自分の感覚のみで歩いてみませんか?
あなたがいつも歩いている道も一歩路地に入ると小道のロマンが眠っているかもしれません。