はじめに
今やお笑い界での伝統芸になってるダチョウ倶楽部の「押すなよ!絶対に押すなよ!」というギャグ。通称、上島メソッド。
熱湯コマーシャルという一企画内で生まれたネタだったが、今や「○○するなよ」というセリフが「○○しろ」という意味をあらわしているのが常識になっているほど我々の生活に浸透しきったギャグである。
今や、いちギャグを飛び越えてお笑い界のお約束ともなっていているこの伝統芸。
他の芸人に真似され、そして僕らの日常にも浸透していて、かつこんなに息の長いギャグは珍しい。
そんな上島メソッドは使われていく中でいくつもの活用形に変化するようになった。
そこでそんな上島メソッドを古典の四段活用になぞらえて、上島メソッドの四段活用をまとめてみた。
それぞれの活用形については本論で説明していくことにする。
上島メソッドの四段活用
僕が思うに上島メソッドの活用形はこの4つに分けられる。
- 基本形 「押すなよ」と言って押させる。
- 未然形 あえて押さない
- 出川形 揉めてからの押す
- 千鳥形 あえて押さず、自分が飛びこむ
誰もが知っている基本形
言わずもがな「絶対に押すなよ!」と丁寧にネタふりをして、押させる基本の形である。
この記事を書くまで知らなかったが、実は適当に押しているわけではなく、ちゃんと合図をしているそう。
上島曰く「押すなよ!」と言っているときは「準備中」であるためまだ押してはならず、「絶対に押すなよ!」と言ったら「準備完了=押してもいいよ」、という意味だから、「絶対に押すなよ!」と言ってから押されるのがお約束となっている。
実はああ見えて押す側と押される側の見事な連携が必要な芸なのである。
あえて押さない『未然形』
基本形がお約束となってしまったがために生まれた活用形であり、基本形と同じくらい汎用性の高いスタイル。
「押すなよ!」=「押せよ!」という図式が予想の裏切りではなく常識になってしまったがゆえ、あえて押さないことで見ているものの予想を裏切るのである。
CMにもなったこの活用形。
押すと思わせといて、押さずに見守るという放置プレイは主に上島竜兵個人で出演する時や、普段体を張る笑いをしない芸人(アンジャッシュ渡部など)に対して行われるボケである。アメトーークなどで使われることが多い。
ちなみに一般人がこれをされると結構つらい。
相手と揉めてからの押す『出川形』
上に紹介した、あえて『押さない』かたちもある程度認知されてきたため、さらにもう一段階深い笑いを目指したのがこの活用形。
この活用形は主にこの上島メソッドの継承者である出川哲朗がよく使うスタイルなので、仮に出川メソッドと呼ぶことにした。
自分のことを押さない相手に「なんで押さないんだよ!」というツッコミから相手との口論が始まり、揉めた結果相手に押されるというスタイル。
ケンカの茶番後、最終的に元のさやに収まるというダチョウイズムを継承した正統進化である。
押さずに自分が飛び込む『千鳥形』
ここまで紹介してきた3つの形が上島メソッドの活用形だったが、最近さらに新しい活用形があらわれた。
それが千鳥形である。
「押すなよ!」とお約束の前フリをしたノブを完全にスルーして大悟が自らが海に飛び込むという新たなスタイル。
「押すなよ!」と言った方をいじって笑いをとるという方程式を見事に裏切った、今までのスタイルとは完全に一線を画す新しい活用形である。
大悟が飛び込んだあとに、ノブが「どういうお笑い?」とツッコむまでが一連の流れである。
まとめ
シンプルであり、すぐに真似ができることから進化を遂げてきた上島メソッド。
今のところ、この4つが上島メソッドの活用形としてみとめられるが、まだまだ変化の余地がありそうである。