かさぶたを剥がすように、過去の痛みを振り返ってしまう。

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同棲を解消してからまもなく10ヶ月。

新しい家に越してからは半年。

気持ち悪がられそうだから誰にも言っていないけど、実は用事で近くを取り掛かった時につい、住んでいた家を覗きに行ってしまったことが何度かある。

 

最初は退去後の部屋の確認だった。

修繕の進捗がどうなっているか、様子を見にきただけだった。

でも、それから何度か近くを通るたびについ、見にいってしまっていた。

近くを通るとどうしても懐かしみたくなって、つい足が向かってしまうのだ。

やめた方がいいと分かっているのに、

まるで治りかけの傷のかさぶたを剥がすように、記憶の蓋を開けてしまう。

 

見に行くといっても中に入れるわけじゃない。窓の外から部屋の中が少し見えるだけ。

退去費用をめぐるゴタゴタで新しい部屋の借り手はまだいないから、部屋の中は僕が出ていった時から時間が止まったままだった。

そんな部屋を見るたびに胸が苦しくなって、ああ来なきゃよかったと後悔しながら元来た道を引き返す。

きっとこんなことをしてると知られたら、女々しいと笑われるだけだろう。

自分でも何してるんだろうとアホらしくなる。だけど、やっぱり近くに来たら足を運ばずにはいられなかった。

 

今日も近くに用があったので帰りに寄ってみてしまった。

でも今回は今までほど胸は痛まなかった。

後ろを振り返りながら、だいぶ女々しく生きてきたけど、それでも時間が経てば傷は少しずつ治るらしい。

足を運ぶたびに少しずつ変わっていく街の様子。今回行ったら、当時仕事帰りによく行っていたスーパーが閉店していた。

寂しい気持ちになったけど、何故かそれを見て少しだけ吹っ切れた気がした。

これを機にもうあの部屋に行くのは終わりにしよう。

 

あれから何回も聞いた曲。今までと少しだけ違って聞こえた。

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この記事を書いた人

神奈川生まれ、沖縄育ちの31歳。
中学・高校時代は卓球部で汗を流し、大学時代はサークルでミュージカルに熱中していました。
大学卒業後は何年か役者やってましたが、今はWEB制作会社で働いています。たまにイベントスタッフも。
トラベラーズノートやほぼ日手帳などの手帳も大好きです。
 
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