これを読んで泣いてます。 いえめちゃめちゃ面白い本ですよ! でも結構前から日本語ラップ、日本のヒップホップファンなので色々と感動しました。 ヒップホップに幸あれ! #MCバトル史から読み解く日本語ラップ入門 pic.twitter.com/CuqQARSKrZ
— 手刀 (@santindatiyoui) 2017年6月27日
こちらの方のツイートを見て早速読んだのですが、本当にめちゃくちゃ面白かった!
MCバトルの大会の始まり、B BOY PARK(以下BBP)から今ブームのフリースタイルダンジョンまで、現場で見てきたDARTHREIDER(ダースレイダー)さんだからこそ書けるMCバトル史。
僕みたいなフリースタイルダンジョンからハマった新参者でも分かりやすくて、かつ本として面白い。
こうやってちゃんとした情報を入れ込みながら、普通に読ませるあたりDARTHREIDERさんはやっぱ頭いいなぁ。
TVで見てからすごく好感が持てて好きな方だったのですが、さらにファンになりました。
全くHIPHOPに詳しくないし、バトルを見て興味を持ったラッパーの音源を聴く程度の僕でも分かりやすく楽しめる本でした。
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MCバトル史という授業を受けてるみたい。
実際のバトルの書き起こしを見ながら客観的な分析と、ダースさん個人の体験談の両方の視点から読めるので、ただの歴史書(歴史書って書くと急に学問的になるね)としてだけでなく、読み物としても普通に面白かった。
またこのダースさんの解説が的確で分かりやすい。
例えば、客層、審査制度の変化に合わせて変わっていくバトルの風潮や音源とバトルの現場との乖離などなど。
一つ一つの点が続いて線になり、そしてその上に今のシーンが出来上がっていくという一連の流れをドラマのように見せてくれていて、まるで『MCバトル史』って授業を受けてるみたい。
『故きを温ねて新しきを知る』ではないけど、この歴史の上に今のラッパーたちがいるのだと考えると、また見方が変わってきて面白い。
BBP3連覇、言わずと知れたシーンを牽引するラッパーkrevaに始まり、
そんなクレバのスタイルが流行する中、その流れに逆い自らのスタイルを磨いてきた漢や般若、
クレバスタイルとされるものをさらに進化させ独自のものにしたFORK。
その歴史の中でも特異な鎮座DOPENESS、
押韻新時代の代表、R-指定などなど。
今、僕らが見ているラッパーがその歴史の中でどういう役割を担ってきたのか。
特に今、中堅、ベテランとして活躍しているラッパーたちの過去のバトルやその軌跡が当時を知るダースさんから語られると、まるで三国志の呂布とか関羽とか張飛のような英雄たちの歴史を読んでいるようでものすごいワクワクします。
となると、そんなMCバトル史を編纂しているダースさんは司馬遷?(笑)
そんなベテランのラッパーたちの過去を知る事で、さらに今の彼らのカッコよさが改めて分かります。
特に今でもブレずにやっている般若、漢、FORKのそのカッコ良さに打ち震えました。
なぜMCバトルはこんなにも僕を魅了するのか。
そして何より印象的だったのがこの1文。
MCバトルで試されるのはラッパーの全活動全人格
知らない相手を無闇にDISらず、相手が何者なのかを正確に捉えた上で、それに基づいたラップをする。
ステージ上と日常を分けない、あくまでリアルとバトルは地続きなMC。
よく言われる「リアル。リアルじゃない」というのはこれだったのかと納得。
なぜ僕がMCバトルにこんなにも魅せられたのか。
それは文字通りマイク1本に命を懸ける、そんなカッコいい生き様に同じ男として憧れたからなのかもなあとこの本を読んで思いました。
だからこそ、ただ上手く韻踏んで相手をディスればいい、何でもいいから勝ちゃいいみたいなのがあんまり好かんのかなぁとも。
まあ個人の好みだし、今の流れからしたら仕方ないのかもしれないけど。
にしても、MSCの有言実行のルールってすごいなぁ。
漢さんのヒップホップ・ドリームも読まねば。
日本語ラップに興味をもつ1つのきっかけになる本
あくまで『MCバトル史から読み解く』なので、これが全てではないだろうし、
僕もMCバトルという一側面でしか日本語ラップに触れていないのだけど、本当に入門としておススメです。
この本の1つのテーマとしてバトルシーンとHIPHOPシーンの乖離というものについて触れられているんだけど、この本がその両者の橋渡し的な本になるんじゃなかろうか。
僕のような新参者、ニワカからしてもHIPHOPというものをもっと知りたいと思うきっかけになったし、何よりダースさんのHIPHOPとそれに関わる人全てに対する愛を感じられる本でした。
この本はMCバトルの歴史でもあり、DARTHREIDERという一人のヒップホッパーの歴史でもあります。
文中で紹介されるような王者たちのような輝かしい成績は少ないのかもしれないけど、間違いなくダースさんはMCバトルを盛り上げてきた立て役者の1人で、尊敬するラッパーです。
MCバトルに全く興味がない人にはちょっとハードルが高いかもしれないけど、僕と同じようにフリースタイルダンジョンからハマった人は読まなきゃ損!
こんなにカッコいい男たちがいるんだぞ!ってことを知ってくれぃ!
ヒップホップに幸あれ!