そのお店は行列のできるような有名店でもなければ、知る人ぞ知る名店というわけでもない。
だけど、どうしても一度行ってみたかったお店がありました。
それがここ。
家から歩いて5分もかからないくらいの近さにあるとんかつ屋。
今の家に引っ越してから約3年。
毎日その前を通るのに一度も行くことがなかったお店。
そんなに近くにあるのに、なんで今まで行かなかったのか?
それは別に特別な理由があるわけじゃなくて、
お金がなかったり、時間が合わなかったり、
「いつか行こう。いつか行こう」と思いながら気づけば3年経っていたというだけなのですが(笑)
いつもいつも窓から見えるお客さんを見て一度は行ってみたいなぁと思いながら、のれんをくぐることは一度もなかったんですよ。
それがもう引っ越しも決まって、今の家にいられるのも1週間。
この土地との別れが見えてくると、この思いを抱えたまま引っ越すのは嫌だなと思って今回行ってみることに。
今まで中々くぐれなかった暖簾
ほぼ毎日目にしていたのに、なかなかくぐる事ができなかった『とんかつ』と書かれた暖簾。
今日も1度家に帰って荷物を置いてから行こうと思ったのだけど、ワンクッションおくとまた行かないかもと思って、帰り道に思い切って寄ってみる事に。
特に人を拒むような店構えじゃないんだけど、なんだか入りづらい。
3年間憧れた世界があるかと思うと、ちょっとドキドキしてしまった。
ちょっとだけ勇気をもって店に入ると、店内には思ったより人がいて、ちょっとびっくり。
そして、ふわっと香る揚げ物の匂い。
たまらんちゃんです。
3年間見送り続けたとんかつ
お店のお母さんに案内されるまま、座敷に。
表の張り紙には4種類くらいの揚げものしか書かれていなかったけど、メニューを見ると結構揚げ物の種類が豊富。
しかし、こちとら、もうすでに口の中がとんかつですよ!
しかも、このためにご飯をほとんど食べず、しかも駅前から歩いてきたんですよ!
という事でメニューの一番目に書かれている『とんかつ定食』、それと『おビール』も注文。
予定になかった420円もするビールも追加したあたり、相当浮かれてたな(笑)
でも、それくらい楽しみだったんですよ!
一足先にきた『おビール』を飲みながら、ついてきたキュウリの浅漬けをポリポリ。
もうニヤニヤが止まんなくて。
3年間見送り続けた憧れのとんかつがこれから来ると思うと。
いよいよご対面。
注文してから待つこと十数分。
いよいよ待ちに待った『とんかつ定食』が俺の目の前に!
たくさんのキャベツの千切りととんかつ。
それとご飯とお味噌汁。
特に珍しくはない基本的なとんかつ定食の感じ。だけどこれを待ってたのよ!
会いたかった!とんかつ定食!
タレとからしでいただきます。
衣は薄くサクッとしてて、噛みしめると豚肉の柔らかくてもちっとした食感が。
とんかつだけど、割とさっぱり食べられる。けど物足りないわけじゃなくて食べごたえもちゃんとある。
美味い!
とんかつ食べて、ご飯とキャベ千を口の中にかっ込んでビールで流し込む。
気分は孤独のグルメの井之頭五郎。
あっという間に完食!
幸せな時間でした!
地元に根付いたとんかつ屋
こちらのお店、お父さんがキッチン、お母さんがホールと夫婦2人で切り盛りしているそう。
お会計の時にちょろっとお話ししたけど、とても気さくなお母さんでした。
なんでも27年ここでお店をやっているそう。
「写真撮ってもいいですか?」と聞いたら、「あたしら映さなきゃいくらでもいいよ(笑)」と言われたのでお店の中を撮らせていただきました。
写真を撮る時もお母さんは隠れて、「お父さん隠れて隠れて」とかそんなやりとりがあったり(笑)
常連さんも結構いるようで、来るお客さんお客さんと会話してました。
居心地いいなぁ。このお店。
心温まる地域に根差した地元のお店って感じで落ち着く。
もっと早く来てればよかった。
今はいない彼女と一緒に来たかった。
とは言っても、もう彼女はいないし、来週にはここを離れるから、そんなことを言ってもしょうがないのだけど。
だから次行く場所では地元のお店と触れ合いたい。
自分の住む街を楽しみたい。
そんなことを思いました。
そういえば、『とんかつ定食』がくるのを待ってた時に見てた内村カメラで、幼稚園児が『世界が平和になるにはどうしたらいいか?』っていう質問の答えに、
おみせをひらいておいしいものをたべてもらう。
ってのがあった。美味しいものを食べたら仲直りしてもらうって。
俺もそう思う。
美味しいものって無条件で人を幸せにしますな。
ここ最近いろいろ大変だったけど、美味しいとんかつと、温かいお店の雰囲気を味わえて、幸せな夜でした。