35歳。
彼女いない歴=年齢。
童貞。
星野源。
この情報だけで、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』と似たようなものを想像していたら、観て面食らってしまった。
似てはいるけど、全くのベツモノの映画『箱入り息子の恋』
星野源さんが映画初主演を果たしたラブストーリー『箱入り息子の恋』
逃げ恥よりも生々しくて、ドロドロで、熱くて、いびつで、でも混じりっけなしのキレイで真っすぐな恋でなんだか銀杏BOYZの峯田和伸を思い出した。
いい映画でした。
星野源さんと夏帆さんの2人の姿が初々しくてニヤニヤしちゃう。
星野源さん演じる『天雫健太郎』と夏帆さん演じる『今井奈穂子』の2人の恋愛を描いた映画なのだけど、最初、星野源さん演じる天雫健太郎(あまのしずくけんたろう)がかなり生々しくて「うわーやばいな」と思ってしまった。
『逃げ恥』の津崎洋匡はきっとお姉さんから「照れる姿がかわいいー!」ってなるような童貞感。
だけど『箱入り息子の恋』の天雫健太郎は「ちょっと気持ち悪い」と思われるような童貞感。
SEか市役所勤務という仕事の違い以外ほとんど似たような設定なのにこんなにも違うものか。その違いが際立つ役周りでした。
もちろん彼女のために頑張ったり、仕事中ニヤニヤしたり似たような部分もたくさんあるんだけどね。
順番的にはこちらの方が先なんだけど、逃げ恥を見た後に見るとなんかもう一人の津崎洋匡を見ているような感じ。
そしてそんな星野源さんの相手の夏帆さん演じる今井奈穂子は良いとこのお嬢さん。
一人娘な上に目が見えないため、両親から大事に大事に育てられたような箱入り娘なんだけど、もうその透明感がやばい。
もう常に白いオーラをまとってるような浮世離れ感。透明感。本当キレイなんですよね。
実は夏帆さんを初めて見たのがみんなエスパーだよだったので、こちらも衝撃。
全盲の女性を演じてるんですが、変に誇張した感じがなく本当にそう見えるからすごい。
そんな2人が出会って、恋をする。
デートで吉野家に行ったり、音楽を聴きにいったり、何気ない幸せがほんとうにキラキラしていてニヤニヤしちゃいます。
箱入り息子と箱入り娘が箱から出ようともがく姿に心打たれた。
鳥は卵の中から抜け出そうと戦う
「卵は世界だ」
「生まれようと欲するものは一つの世界を破壊しなければならない。」
映画では鳥じゃなくてカエルで表現されるけど、自分から箱に閉じこもった『男』と周りから箱に閉じ込められた『女』
その2人が出会って箱から飛び出そうともがく2人の姿は見てて応援したくなるし、頑張らなきゃと思わされました。
その自分のいる世界の壊し方が本当に無様でカッコ悪くて情けなくて、でもカッコイイ。
なんか今の生活に閉塞感を感じていたので、なんか元気をもらえる気がしました。
周りからなんと思われようとも、貫きたいことがあった。
その生まれたエネルギーでもって、泥まみれになってもひた走る、そんな感じ。
見るってなんだろう?
今井さんは、誰かに面と向かって笑われたことはありますか?
こちらのことを知りもしない相手に、変な人だと、言われたことは?
見た目や、見た目や、着ている服や、就職先なんかで、人は値踏みされてしまいます。
そういうランク付けをするのは、目が見えている人だけです。
『箱入り息子の恋』天雫健太郎
そう見られたくないけど、「見た目が9割」というし、自分も知らず知らず、そう見た目で判断しているだろうし。
紙っぺら1枚で相手のことを知ったつもりになったり、
ヤリマンと陰で噂されてる女性社員が実は恋愛に真っすぐだったり、
世間的に立派に見える人が、実は立派じゃなかったり。
「見えない」ことよりも「見えているつもりで見えてない」ことの方が問題だったりする。
その点で言うとこの映画の2人はちゃんと見えてたんだなぁ。
僕はちゃんと見えているんだろうか?
見ているんだろうか?
見るって何だろうな。
そんなことを考えさせられた映画でした。
笑ってキュンとして泣けて「えっ!」ってなる映画
なんか真面目なことを書いちゃったけど(笑)
映画自体はクスッと笑えるシーンもたくさんあるし、初恋のあの初々しい感じとかもホント見ていてキュンキュンするし本当に面白い映画です!
特に『逃げるは恥だが役に立つ』を見た人は最初に出てくる星野源さんに面を食らうからぜひ見てほしい!
両作品を見比べてみるのも面白いかもね!